文字改革---ウイグル人が経験した「文革」最大の災難 その二

 引き続き、イリシャット・ハッサン・コクボレさんの『維吾爾雄鷹 伊利夏提① 中国植民統治下的「東突厥斯坦』P282の「文字改革---維吾爾雄人経歴的「文革」最大劫難」という文章を翻訳していきます。今回は後半です。

 本当かどうかは私にはわかりませんが、安倍元首相暗殺の実行犯である山上徹也容疑者には「背景」がありそうだという情報が出回ってきていますね。もちろんその真偽は不明ですが、よくよく思い返してみると、やはり、事の経緯に何となくあやしい感じがしないわけではありません。

 山上容疑者の本当のターゲットは例の宗教団体のトップのはずですが、実際に撃たれたのは安倍元首相です。しかも奈良の前に、わざわざ岡山の方にも出向いて行って安倍元首相を狙っているわけです。現在マスコミが狂ったように報道しているように、例の宗教団体と関係があった政治家は与野党を含めて多数存在するわけです。

 なぜ、安倍元首相なんでしょうか。

 例の宗教とは関係なく山上容疑者のターゲットは安倍元首相であり、そこには何か別の目的があるのではないか・・・、そう考えるのが自然だと思うのです。

 話がそれましたが、イリシャットさんの文章の後半部分です。
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偽物の文革の名の下に行われた文字改革

 この様な「文字改革」の名の下に行われた民族絶滅政策は、先ず「文化大革命」によって計画実施され、それに「文化大革命」によって生み出された極限の恐怖統治が加わることになった。特に東トルキスタンチベット南モンゴルにおける血なまぐさい恐怖統治の環境は、「文化大革命」の名を借りたこの政策を、当然のようにあっという間に全面実施させることになった。しかも「文化大革命」が終わったにもかかわらず、この血みどろの状況は1982年まで続いたのである。

 文化大革命10年間は、その世代のウイグル人の青春時代を滅茶滅茶にし、世界から隔離し、無知蒙昧にした年代だ。ウイグル人はこの10年間、何一つ学ぶことができなかった。しかも、この様な民族絶滅政策が20年以上も続き、このため「文字改革」によって人為的に混乱が作られ、二世代のウイグル人が徹底的に現代の文明社会に於ける文盲にされてしまった。

 仮に「文化大革命」の間に本当の意味での「教育」があったと敢えて考えたとしても、この20年間の間に「教育」を受けたウイグル人は、現在は読むことも書くこともできないのだ。彼らが学んだ新しい文字は、今では完全に廃止されてしまっている。中国共産党植民政権の言う「旧ウイグル文字」、つまり本物のウイグル文字を彼らは理解できない。

 この二世代のウイグル人は、精神的栄養を吸収することのできる民族の歴史という根を中国共産党によって人為的に断ち切られてしまっている。彼らは、現代文明の情報を得ることのできる手段を中国共産党植民政権によって破壊されてしまっている。これこそ人類の悲劇であり、文明の恥だ。

 ウイグル人が、この様な「異人種の文明を敵視する」政権の統治下にいることは極めて不幸なことだ。この二世代のウイグル人は20年間の「文字改革」と10年間の「文化大革命」を経験してきた。この様な悲劇的困難を経験して、彼らは「現代の文盲」となってしまった。これこそ、この二世代のウイグル人の悲劇である。

 文字は、その民族の生存のよりどころであり、その民族の特徴の根本を形作っている。また文字は、その民族の特徴である文化や歴史、信仰、伝統を維持する伝達手段であり、さらに言えば、その民族の文化や歴史、信仰、伝統の伝承を可能にする民族の土台である。

 ある民族が、千年以上使用してきた文字を奪われるということは、高くそびえ立つ大樹の根を断ち切ることと同じであり、どんなに高く伸び繁茂していたとしても、あっという間に痩せ細って枯れてしまうだろう。これこそ中国共産党植民統治者が、「文化大革命」と称して「文字改革」を実行した本当の目的なのだ。

ウイグル人の民族的自覚を恐れて政策を変更

 現在でもウイグル人は「文字改革」を続けるべきだと騒ぐ輩がいて、もしかしたら「文字改革」が再びよみがえるのではないか、ウイグル人の文化の土台を混乱させようとしているのではないかと良心的な人々は心配している。しかし、実際のところ、こうした輩は飼い主の本当の意図を未だよく理解していない。良心的な人々の心配も考えすぎだ。

 中国共産党植民政権が本来のウイグル文字を復活させたのには、実は長いスパンでの考えがあってのことなのだ。

 1982年に中国共産党が本来のウイグル文字を復活させたのは、決してウイグル人の新ウイグル文字に対する強烈な反抗や抵抗があったからではない。それは新ウイグル文字がトルコの使用していた文字とほとんど同じであったことが理由なのだ。この偶然の事実は、中国共産党政権を極度に緊張させた。

 新ウイグル文字を学べば、ウイグル人は簡単に海外の兄弟・・・トルコ民族との間に文化的繋がりを持つことができるようになり、独立している他のトルコ民族の兄弟国家の助けを借りて、民族の文化や歴史の土台を発掘することができるのだ。これこそ中国共産党政権が徹底的に新ウイグル文字を破棄させた根本的原因なのだ。

 それ故に中国共産党植民政権は、所謂「改革解放」のスローガンの下に、ウイグル人の徹底的同化という民族絶滅政策をあからさまに提起し、「双語教育」と称して好き勝手に民族絶滅政策を実施しているのだ。

 文字を変えるという政策は、民族の文化や歴史、信仰との繋がりを断ち切って民族を絶滅させることができるが、それには比較的長い歴史的過程が必要となる。しかし、言語を消滅させるという政策は、さらに徹底的かつ急速に一つの民族を容易に消滅させることできる。

 現代文明社会の衆人環視の中で、一つの民族を実体的に消滅させることは容易なことではない。近代史上の二つの邪悪な国家・・・ソ連及びナチスドイツでも成功することはなかった。中国共産党植民政権の極悪人たちは彼ら失敗に学んでいるのだろう。それ故に、彼らは適当な名目や様々な名称によって民族絶滅政策を強行し、植民統治下にある各民族の徹底的同化を企てて問題の永久解決を図っているのだ。

 「文化大革命」は、中国共産党植民統治者による民族絶滅政策の最初の試みだった。たとえ成功しなかったとしても、彼らはその考えを改めてはいない。武器を手放して良心を取り戻すことなどないのだ。それどころか更に強力な新政策を試みてくるに違いない。

(本文は2016年5月31日のウイグル人権プロジェクトブログに発表したもの)
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 ある民族の言語を奪うことは、その民族を絶滅させること。日本人はあまり意識することはないかもしれませんが、これは実に重要な認識だと思いませんか。別の言い方をすれば、自分の言語を大切にしない民族は自ら滅亡への道を歩んでいるということでもありますね。日本人は日本語を大切にしているでしょうか。

 イリシャットさんは、将来中国共産党はさらに凶悪な手段でウイグル人からウイグル語を奪いに来ると予想して、この文章を締めくくっています。この文章は2016年に書かれた文章ですが、その2年後には東トルキスタン強制収容所がいくつも建設され、百万単位のウイグル人が強制収容されているという、衝撃的なニュースが世界中に伝わりましたね。まさにイリシャットさんの予想したとおりになったわけです。

 こんな残虐な行為を行っている国家との友好関係などあり得るのでしょうか?