人口侵略の光景 その二

 それにしてもひどい事件が起きたものだと思います。日本の憲政史上おそらく最も国民から信頼された安倍晋三元首相が暗殺されてしまいました。

 たとえば政治的立場の異なる勢力や外国勢力によるテロによるものであれば、自分としてもそんなこともあり得るのかもしれないと納得できるのですが、報道から伝わってくる犯人像は、確たる根拠のないデマ情報に簡単に踊らされてしまうタイプの“凡庸な狂人”のような感じですよね。

 これは耐えられないですよ。世界中がその急逝を惜しみ追悼している人物を殺した人間が“ただのアホ”なんですから・・・・・・・。

 

 ※その後、犯人について色々とわかってきました。母親が宗教団体にはまっていて、財産をだまし取られたとか、兄を自殺で失っているとか。まぁ、同情するようなところもないわけではありませんが、しかし、だからといって人を殺していい、ということにはならないですね。

 

 これから日本は迷走していくことになるんでしょう。
 それでも、がんばって生きていくしかないですね。

 気を取り直してイリシャット・ハッサン・コクボレさんの『維吾爾雄鷹 伊利夏提① 中国植民統治下的「東突厥斯坦』P206の「為什麽是烏魯木齊火車站」という文章の翻訳を続けていきます。
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列車の音を風刺しただけで逮捕され刑罰を受ける

 「東トルキスタン鉄道システム」は、新疆兵団や中国石化と同様に中国共産党漢民族植民地政権によって徹底的に支配され、中国共産党植民政権の政治的利益のために存在する植民組織であり、漢民族の政治的移民のためのものなのだ。自治区の鉄道システムに一人か二人ぐらいのウイグル人副局長や何人かのウイグル人副段長がいるとしても、全て名前だけのものであり、実権をともなうものは一つもない。簡単に言うと、鉄道、列車、駅は、ウイグル人東トルキスタンの土着民族とほとんど関係がない。

 私自身鉄道労働者の家庭で育ち、親兄弟も皆鉄道システムの中で仕事をしていた。小さい頃から多くのウイグル人が鉄道、列車、駅についての話しをするのを聞いてきた。最近流行っている話がある。「鉄道がウイグル自治区に入ってくるとき、どうしていつも長々と汽笛を鳴らすのか?ウイグルから離れるときとても重々しい音を立てるのはなぜなのか?」という話だ。

 ウイグルの知識人の答えはこうだ。「なぜなら列車がウイグルに入ってくるときは、貨車の中は資源を積み込むために空っぽで、客車にぎっしりと乗り込んでいる流浪の群れはひどく飢えているからさ。だから列車が私たちの豊穣な東トルキスタンに侵入してくるときは長々と汽笛を鳴らすのさ。『腹減った、腹減った!俺たちは金や銀や鉱物資源が必要なんだ、食い物がほしいんだ、腹いっぱい果物を食べたいんだ!』ってね。」「列車が中国に帰っていくときは、ウイグルのものをたっぷり食らって奪って苦しそうに息を荒げて叫ぶんだ。『食った、奪った、腹も荷物もいっぱいだ。重たくってたまらない、引っ張っていくのは大変だ!』ってね。」

 列車の音を風刺したこの話はウイグルで広く流行した。特にウイグル人の鉄道労働者の間では知らぬものがないほどだった。聞くところによると、この話を作ったというウイグル知識人は、地方民族主義者という罪名で逮捕され行方不明となったという。

鉄道はロバを運んでいき山ほど漢民族を載せてきた

 この話のともに、最初の世代のウイグル人鉄道労働者が目撃したのは「本当に哀れな漢民族、飢えた大量の難民が列車にへばりついて東トルキスタンにやってきた」というものだ。鉄道がウイグル自治区に到達した時期は、中国共産党による所謂「大躍進、三年自然災害」の時期と重なっていた。鉄道が開通すると中国共産党政権による秘密裏の政策によって、陝西省甘粛省から大量の飢餓難民がウイグル自治区に押し寄せてきた。特に鉄道沿線の各都市は最初にこの流民の群れに接することになった。

 鉄道の「労働者食堂」に勤務していたあるウイグル人が私にこんな話をしてくれたことがある。当時陝西省甘粛省の大量の難民がハミ地区の各街に押し寄せ、駅の周囲は難民であふれかえっていたという。良心的なウイグル人鉄道労働者の多くが食事を準備して彼らにも分けてあげようとした。もともとは分けてあげるはずだったが、押し寄せる難民によって全ての食べ物が食べ尽くされてしまうことも度々あったという。あるとき、ウイグル人労働者がうっかり食べ物を地面に落としてしまった。するとたちまち飢餓難民が這い回って全て食べ尽くしてしまったという。

 このウイグル人鉄道労働者はこうも言っていた。これら漢民族の飢餓難民を助け、食べ物を用意したのは、多くの場合単純で善良なウイグル人たちだった。漢民族の鉄道労働者は彼らを助けることをほとんど拒否していたという。彼はいつも「まったく、俺たちウイグル人は単純で人が良すぎる!」という言葉でこの話を締めくくっていた。

 鉄道についてはもう一つ別の話がある。おそらく80年代のものだ。当時ウルムチ駅には毎日大量の貨物列車が東トルキスタン南部地域で生産されたロバを満載して中国へ運んでいた。一方で毎日決まったように仕事や儲けを目的にした大量の漢民族移民がウルムチ駅に次々と入ってきていた。

 あるウイグル人知識人に質問した人がいる。「いったい何だって毎日毎日こんなにたくさんのロバを中国に運んでいくんだ?」このウイグル人知識人は馬鹿にしたような口調でこう答えたという。「これはウイグル自治区が現在進めている物々交換さ。自治区のロバ一頭につき漢民族の移民10人というわけさ。」聞けばこのウイグル人知識人も、この発言のために逮捕され行方不明だという。
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 大躍進政策が引き起こした中国全土の飢餓によって数千万人の中国人が命を落としたと言われていますね。中国共産党は飢餓による犠牲者の人数を把握しているのでしょうが、外部の人間には実際のところどの程度の犠牲者が出たのかはわかりません。ちょうど89年の天安門事件の犠牲者がよくわからないのと同じです。

 隠蔽、隠蔽、隠蔽。ねつ造、ねつ造、ねつ造。共産主義は人間の頭の中まで支配しようとするイデオロギーですから、共産主義者から発進される情報に信用できるものは一切ありません。それは日本共産党でも同じ事です。正しい情報は党中央が把握し、党中央が”正しい”判断をするのだから、人民はそれに従うだけです。

 通常、これはファシズムと呼ばれていますが、彼らはそれを民主主義と呼んでいるのです。安倍元首相が言った“こんな人たち”とは、こういう真実と嘘が転倒したイデオロギーを信仰しているカルト信者だったのではないでしょうか。