民族抑圧下のウイグル農民 その二

 最近、上海電力の問題が急浮上してきていて、その実態から日本の政界、財界、官界に相当深く中国のサイレントインベージョンが進んでいることが明らかになってきていますね。日本人は金や女(女性に対しては“男”でしょうか)を使った他国の工作に弱いとは思っていませんが、戦後教育のなれの果てと言ったらよいのかどうか、いずれにしても人が良すぎる感じがします。基本的に人を疑わないんですよ。

 日本社会の安心感は、日本人どうしの暗黙の了解を土台にした相互信頼によって成り立っていると言っても言い過ぎではないと思います。最近海外から日本に来て日本についていろいろと発言している外国人の動画が、YOUTUBEなどに数多くアップされていますが、彼らが肯定的に評価してくれている日本社会の優れた点の大半はこの辺に集中していますよね。ところが、中国共産党の対日工作は日本人のこの“人の良さ”を突いてくるのです。

 これは厄介な問題ですよ。日本人は自分が正しいと思っていることをやればやるほど、中国の対日工作の術中にはまっていくことになるのですから。残念ながら中国人を相手にする場合は、この日本人の“人の良さ”を捨てる必要があります。徹頭徹尾相手を疑ってかかって、ようやく彼らとは対等にやりとりができると言うことです。

 イリシャットさんの本『維吾爾雄鷹 伊利夏提① 中国植民統治下的「東突厥斯坦』を読むと、ウイグル人も日本人と同様に“人の良さ”を持っている優しい人たちのようです。本来、それは異なった民族が友好的に接するために必要な能力なのですが、漢民族にはそれは通用しなかった、ということですね。あくまで全漢民族とは言いませんが、漢民族は徹底して利己的な性格をもっている人々ではないかと、ウイグル人にはそう言う資格がありますね。

 さて「民族抑圧下のウイグル農民 その二」です。
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民族抑圧下のウイグル農民 その二

親戚や友人を訪問するにも「良民」通行許可証が必要

 東トルキスタンウイグル農民の移動の自由は、ほぼすべて剥奪されている。特に南部農民の移動の自由は極めて厳格に制限されている。

 ウイグル農民が親戚や友人を訪問する場合、必ず「良民」通行許可証を発行してもらわなければならない。通行許可証には十戸長及び村長、村共産党支部書記、村駐在警察の許可と署名がなければならない。親戚の訪問については、当日早いうちに十戸長に報告しなければならない。十戸長はその家の調査を行い、話を聞き、訪問する人間が本当に親類であること、そして「良民」であることを確認する。さらに交流時間がどの程度になるのかもはっきりさせなければならない。調査では訪問者の身分証の確認や質問も行い、もし訪問者が隣の県の農民であった場合は所持している「良民」通行許可証の確認も行う。訪問した親戚は予定時間通りに帰らなければならない。もし予定時間を過ぎてしまった場合も、やはり十戸長、村長、村共産党支部書記、村駐在警察の許可を得なければならない。とにかく最初から最後まで十戸長とその助手たちの監督下に置かれているのだ。

 村と村の間の往来は比較的容易である。身分証を提示すれば通行可能となっている。村と村の間には検問所が設置してあり、一般的に検問所には武器を持った協警が三人いる。協警たちは現地政府が雇用した村や郷のヤクザ者であり、その村の農民に対しても非常に乱暴で無礼である。まして知らない人間に対しては推して知るべしだ。ちょっとでも間違いを犯したり身分証を忘れたりすると、いかなる農民であっても極めて大きな困難に直面することになる。

 もし遠出をするとか、地域を跨いで移動するなら、先ず十戸長、村長、村共産党支部書記、村駐在警察に「良民」通行許可証を発行してもらう必要がある。その後、郷政府に「正式通行許可証」を発行してもらい、郷の派出所で「無犯罪証明」などの書類を発行してもらう必要がある。

 南部各県のあらゆる県境には検問所があり、ほとんどの検問所に銃を持った公安や武装警察がいて検査を行っている。しかも彼らはウイグル人しか検査しないのだ。もし身分証や良民証、通行許可証などを所持していなかったら大変なことになるだろう。その人は家族が来るまで拘置所などに閉じ込められ、罰金を支払わなければ迎えに来た人に引き渡されることはないのだ。

 東トルキスタンの南部の土地はあまり豊かではないので、ウイグル農民一戸あたりの耕地面積は平均で130アールあまりしかない。しかし例外がないわけではない。私は、この疏勒県のウイグル青年に、自分の村で一番大きな土地を持っているのは誰か、と聞いてみた。青年は、自分の村には五、六戸の漢民族の農民がいて、だいたい2002年前後に内地から移動してきたのだが、最も大きな土地を持っているのは彼らだ、と答えた。

漢民族のために綿花を摘むウイグル人学生

 それで彼らはどのくらいの土地を持っているのと聞いてみると、彼は「一戸あたり2600アールから3250アールだ!」と答えた。今度は「ウイグル人でそのくらいの土地を持っている人はいないのか?」と聞いてみると、彼はきっぱりと「いない。ウイグルの村長でもだいたい1300アールから1950アール程度が一番多い方だ!」と答えた。私はさらに、その五、六戸の漢民族は何を栽培しているんだ、ときいてみると、彼は「綿花」だと答えた。この答えから別な話題へと移っていった。

 この若者は私に、綿花の収穫の季節になると村では強制的に中学生や高校生が授業を中止して駆り出され、漢民族の綿花畑に行って綿花を摘んでいるが、同じ村のウイグル農民は自分で労働力の問題を解決しなければならないと話した。村や郷の政府は「民族の団結を強めるために漢民族の農民兄弟を助けよう!」などと、綺麗事を言っているそうだ。

 綿花の収穫時期には、収穫が一日でも遅れると綿花の等級が下がるのでよい値段で売ることができない。この事は「自治区」の農村の綿花農民であれば誰でも知っていることだ。これも一種の形を変えたウイグル農民に対する搾取的制度と言えるだろう。

 余剰労働力の移転という問題についても、私はこの若者に聞いてみた。彼は、県や郷の規定では「中学校を卒業し高校や専門学校に入学していないウイグル人女性はすべて政府の手配に従って中国国内のその他の省に働きに出なければならない。家長がこれを拒否した場合、重い罰金刑に処すか、監禁して学習班に参加させなければならず、その家が耕作している土地も政府が強制的に没収する。」となっているという。

 「それは女性だけなのか?」ともう一度確認してみた。彼は再びきっぱりと「そうだ。女性だけ、それも未婚の女性だ!」と答えた。ある家長は娘が強制的に連れて行かれるのを避けるために、中学校卒業前に結婚話を整えておき、卒業したらすぐに結婚させることにした。その通りに娘が結婚すると、村や郷の幹部たちは二度とその娘を他の省へ働きに出すことを強要しなかったという。この若者はそれをとても奇妙なことに感じたようだ。

 もとより農民をすることは大変なことだが、ウイグル農民はさらに大変だ。特に東トルキスタンの南部で農民をするということは、まるで地獄の中にいるようなものだ。

(本文は2014年8月19日に博訊新聞ネットに発表したもの)
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 さて、日本に侵入してきている中国共産党のサイレントインベージョンをいかに駆逐するのか、日本人も真剣に考え、行動しなければなりませんね。