ウクライナに勝利を! その二

 ロシヤによるウクライナ侵略戦争の原因や背景については突拍子もない陰謀論も含めていろいろ言われているけれども、その真実が解るのはおそらく数十年後の事だと思いますね。だから私としては安易にマスメディアやネットで言われていることに飛びつきたくないのです。

 何しろ人間というものは一旦ある見方を信じてしまうと、それに反する情報に接しても認知的不協和を起こして拒絶してしまいます。そうすると見えるものも見えなくなるし、考え方の幅も狭まってしまいます。言ってみればカルト宗教の信者のようになってしまうのです。

 私の情報源は日本のマスメディアもありますが、中文が読めるので中国を除く中文メディアでも情報を採っています。中文メディアもいろいろありますが、最初から情報操作を前提にして作られている大陸系のメディアは無視します。どう言うわけか日本のマスメディアより自由中華圏のメディアの方が情報が早いように思いますね。

 ネットについてはできるだけ現地のものを見ようと心がけていますが、ロシア語もウクライナ語もわからないので、YOUTUBEの動画などは機械翻訳で見るしかありません。動画の表題はともかく音声の機械翻訳は残念ながらほぼ役に立ちませんね。雰囲気だけは伝わりますが、多分にプロパガンダ的要素が入っているのは仕方ありません。戦争ですからね。

 以上のような情報源から私なりに理解した現状ですが、やはりウクライナ側の対応は見事ですね。とにかく軍だけでなく国民全体の冷静さには驚くばかりです。肝が据わっているというか、こういう事態に対する組織的、精神的準備が十分にできていたのでしょう。ほとんどパニック状態が起きていないことにウクライナ国民の覚悟の程を感じることができます。

 ウクライナ軍指導部が最初から予想していたのかどうかはわかりませんが、ロシア軍の開戦後数日間の進撃に対する反撃は、おそらくほぼ完璧だったのではないでしょうか。予想進撃路の周囲に展開するウクライナ軍はロシア機甲部隊の最も強力な先頭集団をそのままやり過ごし、その補給線が延びきったところで、ロシア軍補給部隊を壊滅させ補給線をズタズタにしてしまうというものですね。

 ロシア軍が採った戦術は非常に古典的な電撃戦だったように見えます。湾岸戦争イラク戦争では、数週間かけて念入りに航空攻撃やミサイル攻撃でイラク側の抵抗拠点や物資集積地点を虱潰しに潰していたのを覚えていますが、今回のロシア軍はとにかくスピードで押し切ろうとしたような感じです。これは何となく第二次世界大戦のやり方に似ていますね。

 これはウクライナ側にとっては非常に幸運なことで、進撃路周辺の兵士たちは爆撃やミサイルに怯えながら、数週間防空壕の中で堪え忍ぶ必要がなかったことになります。当然人的損失も物質的損失もほとんどなかったに違いありません。彼らは心おきなくロシアの補給部隊の装甲車両やトラックを破壊し、焼け残れば積載してあった武器や弾薬、食料を奪うこともできたでしょう。

 そういえばそういう映像はたくさん公開されていますよね。人によっては全てフェイクだねつ造だということなのでしょう。しかし、彼らが採った戦術から考えれば、そのような映像を採ることは至って簡単だったはずです。たぶんロシア軍の補給線の至る所でそのような状況が展開されていたはずですから。

 ロシア軍機甲部隊の先頭集団としては、最初の数日間の快進撃で、あっという間に主要都市のいくつかを制圧して戦争は終わると思ったとしても不思議ではありません。ウクライナ側はおそらく最初の内は全く無抵抗だったはずですから。しかし、補給線が伸びきった頃に後ろの方で後続の部隊が手ひどく攻撃され始めます。

 しかし、ロシア軍の先頭集団の第一目的は一刻も早く目標の都市へ進撃することです。したがって後続部隊の応援のために兵力を回すことはできません。指揮官はイヤな予感はしたでしょうね。ウクライナ側は虚を突かれたのではなく準備万端で迎撃してきたのかもしれないと感じたかもしれません。その通り。虚を疲れたのはロシア軍の方だったわけですよ。

 ただ、ロシア軍の先頭集団はあっという間に主要都市に到達します。もしウクライナ側に戦意がなければ、市民は集団で逃げ出しウクライナ兵もそれに紛れて脱出をはかるでしょう。最悪の市街戦も起きることなくゼレンスキー大統領は捕らえられるか、場合によれば裏切った味方に殺されてこの戦争は終わったかもしれません。

 ところが主要都市の市民がパニックに陥って逃げ脱す現象が起きていたという話は全く聞きません。それどころか市民は様々な形で防衛戦への協力を組織的に行っていたのです。日常の仕事もやりながらです。こんなことはウクライナ国民に確固たる国民意識がなければ不可能なことです。今の日本人にこんなことできますかね。正に敬意に値する国民ですよ。ウクライナ人は。

 こうなるとロシア軍はいくら装備がよくても攻め倦ねることになります。何しろ都市市民に対する無差別攻撃をする以外に相手の戦力を挫くことは不可能になるからです。しかし、いくら何でも情報環境の発展した21世紀の世界で公然と市民に対する虐殺行為を行えば確実に世界全体を敵に回すことになるでしょう。でも、プーチンが折れない以上、ロシア軍それをやらざるを得なかったわけです。

 いくつかの条件があると思いますが、ウクライナ側はロシア軍の目標を喪失させて再反撃するという手が使えると思いますね。つまり、キエフをはじめいくつかの主要都市を無血開城してしまうという手です。ゼレンスキー大統領も一瞬姿を眩ませます。「逃げた」でも「殺された」でもいいので、ロシア側に戦争が終わったと信じさせることが重要ですね。少なくとも兵士たちの間では。

 その間に、再びロシア側の補給線上の敵を徹底的に破壊する準備を進めておき、ロシア軍の志気が十分に弛緩した頃に一斉攻撃を仕掛けるのです。いなくなったはずのゼレンスキー大統領も居場所不明のまま声明を発表して軍と国民の志気を鼓舞するんです。ロシア軍は狂ったように動き回って散在するウクライナ軍の拠点を攻撃するはずですが、むしろかえって個別撃破されてしまうでしょう。つまり、壊滅です。

 まぁ、これは夢想にすぎませんが、結局、イラクアフガニスタンアメリカ軍の最後もそんな感じだったんじゃないですか。アメリカはそれでも民主主義の国なんで、壊滅する前に軍隊を撤退させることができましたが、プーチンというボケ老人の独裁国家にそれができるのでしょうかね。

 核戦争だけは起きませんように・・・。